軟水や硬水という言葉は、本当に水が「硬い」とか「柔らかい」という事を指している訳では有りません。水に手が触れた時に「あっ、この水は柔らかいなー、硬いなー。」なんて感じたりしませんよね。
水が硬いとか柔らかいとは、水の硬度が高いか低いかの違いを表す言葉です。硬度とは水の中に含まれるミネラル(カルシウムとマグネシウム)の量を一定の基準で数値化した物です。
WHO基準では120mg/Lを境として、それよりも硬度が高い水を「硬水」、それよりも低い水を「軟水」と定義しています。(参考:水の硬度の計算の仕方)
そして、「日本の水は軟水が多く、ヨーロッパの水は硬水が多い」と言われますよね?今日はその理由について簡単に説明するとともに、海外旅行で初めて硬水に触れる時の注意点なんかも紹介したいと思います。
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なぜ日本の水は軟水でヨーロッパの水は硬水になりやすいのか?
上空から降ってきた雨や雪は地層に染みこみ、長い年月をかけて地層内を移動し、移動している間に地層に含まれるミネラルを吸収して、湧き水等になります。
日本の場合は、国土の起伏が非常に激しいので、物凄い速いスピードで高い所から低い所へ水が移動します。そのため、地層内に水が存在している時間がそもそも短いため、地層に含まれているミネラルを吸収する時間が少ないので軟水になりやすいと言われています。
一方でヨーロッパ大陸は日本と比べると非常になだらかな地形になっています。土地の高低差もあまり有りませんから、降り注いだ雨や雪は非常にゆっくりと長い時間をかけて地層内を移動します。よって、ミネラル分を多く含んだ硬水となりやすいのです。
【参考】日本でも硬水は飲める!
都道府県別の水道水の平均硬度の記事でも書いているように、日本の水道水の全国平均硬度は約50~60度の間となっていますので、全体としてどの地域でも軟水が多いことが分かります。
しかし、だからと言って日本に「硬水」が全く無いわけでは有りません。
例えば、愛媛県の四国カルストの水「ぞっこん」は硬度107mg/Lの中硬水です。WHO基準で言うと軟水のカテゴリーに入ってしまいますが、日本基準では中硬水という分類。そもそも硬度100mg/Lを越える水そのものが無いので、「ぞっこん」も硬水のカテゴリーに入れても良いでしょう。
そして、超硬水として有名なのが大分県竹田市長湯温泉の水です。商品名としては「MgNa(マグナ)1800」が該当します。硬度は900mg/Lと非常に高く、温泉水であることからサルフェートも豊富に入っています。
日本産の硬水が飲みたい!という方はまずは上記の2つから初めてみては如何でしょうか。
世界の水の硬度データ
せっけんライフというサイトの中に世界の水の硬度のデータが掲載されていますので、そのデータを引用して少しコメントを附していきたいと思います。
国 | 地域 | 硬度 |
アメリカ | シカゴ市内 | 120 |
ニューヨーク | 30 | |
ラスベガス | 300 | |
ロサンゼルス | 90 | |
イギリス | ロンドン | 220 |
エジンバラ | 35 | |
スペイン | マドリッド | 25 |
マジョルカ | 500 | |
イタリア | ミラノ | 270 |
ドイツ | ミュンヘン | 300 |
パット見て分かる事としては、ヨーロッパの水の硬度は総じて高いけれど、硬度が低い軟水の地域も有る!という事ですね。スペインなんてマドリッドは25でマジョルカが500ですから、場所の違いでこんなに差が出るものなの?とビックリしちゃいますね。
また、アメリカを見ても都市部によって硬度は全然違います。まぁ、アメリカの国土は日本の約25倍にもなると言われているので、むしろ日本みたいに殆どの地域の水が"軟水"なんて事になる方が異常です。
海外で初めて硬水を使う場合の注意点
日本人の殆どの人が軟水しか使ったことが無いので、旅行・留学・転勤等で海外へ行った時に「硬水」に戸惑います。戸惑う・・・というか「硬水が体に合わない!」と感じる人も少なくないそうです。
最も顕著に影響が出るのが「お肌」ですね。硬水で体を洗ったり、硬水の水に体が触れることで、肌荒れを起こしてしまう人が相当数いるようです。水に含まれるミネラルが多すぎると、普段使っている水と違いすぎてお肌が悲鳴を上げるのかもしれません。
そのため、初めて海外へ行く方は以下の様な事を気をつけて生活してみると良いでしょう!
①石けんは現地仕様の物を使う
水の硬度は元々石けんがどれくらい泡立ちにくいかを表す指標です。(硬度が高ければ高いほど泡立ちにくくなる)
よって、軟水を基準として作られている日本の石けんを硬水で泡立てても全く泡立ちません。泡立っていない状態で体に擦りつけても体を傷つけているだけ・・・なんて事にもなりかねません。
海外で生活する際には、泡立ちの良い石けん・あるいは現地仕様の石けんを使うようにしましょう。
②保湿をしっかりとする
硬度(特にカルシウム濃度)が高い水は、お肌を想像以上に乾燥させます。感想は様々な肌トラブルの原因となりますので、日本にいる時以上に保湿をしっかりと行って下さい。
③軟水器を使って硬度を下げる
一番確実なのは軟水器を使って、日本と同じレベルの硬度の水にしてあげること。そうすれば、お肌に合わないなんて事にもなりませんし、非常に安心できます。
硬水に慣れているヨーロッパの家庭でも、軟水器を利用する家庭は多いと聞きますので、長期的に海外で暮らす人は利用を検討してみても良いでしょう。